『以東岳』は朝日連峰縦走路の起点、または終点として沢山の登山好きに知られています。
そして「山形県の山の中でも以東岳が一番好き」と答える方は多いと思います。
実は私もその一人。初めて登った時から以東岳の魅力に心を奪われました。
ただ、日帰りするにはなかなかのロングコースでハードな山と言われており、「挑戦したい気持ちはあるけど、なかなか踏み出せない」という方は沢山いると思います。
距離的にも一泊二日で行くのが妥当ですが、そんな以東岳に日帰りで行けたらすごいですし、自信にも繋がります。
私は以東岳は今は日帰りで登る方が断然多くなりましたが、登山初心者の頃は以東岳登山の日帰りに憧れを抱いていたので、「いつか日帰りに挑戦したい」とずっと思っていました。
そんな方に、今回は以東岳登山を日帰りで登ることに不安を登っている方や、日帰りに挑戦してみたいと思っている方に、以東岳はどれくらいの体力で日帰りできるのか、日帰りするにはどのコースがおすすめなのかなど、以東岳の魅力をあわせて紹を介していきたいと思います。
『以東岳』どんな山?
以東岳は朝日連峰の一角で、山形県鶴岡市と新潟県村上市の県境にあり、日本二百名山に選ばれています。
どっしりとした山容で、山頂からの眺めはため息が出るほど壮大で美しく、高山植物が豊富です。
伏流水が豊富で水場が多く、登山中に飲むその水はとても美味しく、水には困りません。
標高966mに幻の魚、タキタロウが住んでいると言われている「大鳥池」があり、ブナの原生林に囲まれた湖畔はとても静かで、キラキラと光り輝きとても魅力的なのです。
私は大鳥池を眺めながら、タキタロウ山荘の外テーブルでコーヒーを飲み、休憩するのが以東岳登山の楽しみの一つです。
また、タキタロウ山荘の水場は特に水量が多く、ばしゃばしゃ顔を洗ったりすることができます。それがまた最高に気持が良い!!
タキタロウ山荘は宿泊が可能です。
山頂に近づくと、熊の毛皮の形に見える大きな大鳥池を眺めることができ、それを囲む山々を含めた景色が圧巻です。
山頂には以東岳避難小屋がありこちらも宿泊が可能です。
ロングコースでハードですが、見どころが沢山あり、とても魅力的な山と言えます。
『以東岳』日帰り出来る?
以東岳を日帰りすることは可能です。現に私も日帰りで登っていますし、近年は沢山の登山客が日帰りで以東岳を楽しんでいます。
ただ、以東岳を日帰りするには、まず十分な体力が必要です。
色々なコースがありますが、距離にすると約20km以上ある上に急登なため、平地で20kmは歩けないとまず日帰りは難しいでしょう。
普段からランニングやウォーキングなど体力づくりされている方や、頻繁に登山を楽しんでしる方であれば、日帰りは可能だと思いますが、それでも休憩時間を含めて8時間~12時間は必要です。
私が初めて日帰りに挑戦した時は、休憩込みで14時間かかりました。笑
普段から週2で10kmのウォーキングをしていましたが、それでも朝4時にスタートし、下山した時刻は18時でした。
少し薄暗くなっておりヘッドランプを付けて降りてきたのを覚えています。
そこから、体力づくりをパワーアップさせ、少しづつですが週3の10kmランニングに変更。
翌年には、日帰りで休憩含め8時間程度で以東岳を登れるようになりました。
歩行時間は個人差がありますが、普段から体力づくりをされている方であれば、日帰りで以東岳を楽しむことは可能です。
『以東岳』日帰りおすすめコース
日帰りでおすすめしたい以東岳のコースは泡滝ダムからのコースです。
泡滝ダム脇の登山口から大鳥池を通り、大鳥池から以東岳山頂を目指すコースです。
大鳥池から以東岳を目指すルートとして、直登コースとオツボ峰コースがありますが、周回することで、以東岳を満喫することができます。
日帰りで周回して大丈夫?と思う方もいると思いますが、直登コースをピストンする最短コースと、直登コースとオツボ峰コースを周回するコースを比較してもさほど時間的には変わらないので、以東岳の色んな顔を日帰りで楽しめるなら周回した方が良いですよね。
直登コースはとても急なので、疲れた足での下りは大変厳しいものがあります。
日帰りで行く場合は、登りは直登コースで、下りをオツボ峰コースで周回するのがおすすめです。
私は日帰りで直登コースを下ったことがありますが、疲れているせいもあり、足ががくがくで何度も転んでしまいました。
オツボ峰コースも緩やかなわけではないですが、少しでも急な下り坂は避けたいです。
日帰りで周回する場合の登りのと下りのルート選択は重要だと思います。
一泊すれば、下りに直登コースを選択しても良いと思いますが、日帰りの場合は、足に負担が掛かるので、登りを直登コースにした方が以東岳登山を楽しめると思います。
『以東岳』泡滝コースのコースタイム
普段から体力づくりされている方のコースタイムの目安です。
個人差がありますが、休憩込みで8時間~12時間と考えるのが良いでしょう。
◯登り
泡滝ダム→七ツ滝沢橋→大鳥小屋→直登コース→以東岳
泡滝ダムから大鳥小屋まで約3時間
大鳥小屋から直登コースで以東岳まで約3時間
◯下り
以東岳→オツボ峰コース→大鳥小屋→七ツ滝沢橋→泡滝ダム
以東岳からオツボ峰コースで大鳥小屋まで約3時間半
大鳥小屋から泡滝ダムまで2時間半
『以東岳』泡滝登山口~大鳥池
泡滝登山口から大鳥池までは沢山の小さな沢を眺めながら、穏やかな登山道を登ったり下ったりを繰り返しながら進んでいきます。
途中に「冷水沢」と「七ツ滝沢」に架かる吊り橋が2つあるのですが、この吊り橋を渡る楽しみがあります。
なかなか吊り橋を渡る機会もないので、以東岳を登った時の特権だなと思い、毎回写真を撮っています。
勢いよく渡ると大きく揺れるので、足元に気を付けて1人づつ渡るのが良いでしょう。
登山道にあるブナ林のブナは巨木でびっくりします。それを見られるのもまた以東岳登山の魅力でもあります。
声のさえずりも聞こえてきて、穏やかに歩くことができますが、崩壊している斜面があるので注意して歩きましょう。
大鳥池手前に「七曲り」と呼ばれるちょっと苦しい急登がありますが、その急登を頑張れば大鳥池に到着します。
ブナの原生林に囲まれた大鳥池の湖面には山が映り込み息をのむ美しさです。
テーブルとベンチがあるので、ここで一息ついて長めの休憩をとるのが良いでしょう。日帰りなので休憩時間を取りすぎないように気をつけて下さいね。
私は美味しいコーヒーと特別なお菓子を持参して、必ずここで休憩をとります。
ここには大鳥小屋(タキタロウ山荘)があり、水場とトイレを利用することができます。
こちらの水場では、ポカリスエットの粉を持参して、水で溶かし、飲物を確保するのですが、こんな山の中で水場があるって本当にすごいことですよね。
いつもありがたいなと感謝して、お水をいただいていきます。
『以東岳』直登コース(登り)
直登コースは大鳥池の周りをしばらく歩くと分岐があるので、そこから直登コースを進みます。
ここからの林の中の長い厳しい坂道がとても大変なのですが、まだかまだかと終わらないこの急な坂道が、挑戦しているような気持ちでしんどい反面、あまりに続くので快感になってきます。(私的意見です)
登った後は達成感でいっぱいになり自分を誇らしく思えますよ。
先に進むと視界が一気に広がり解放された気分になり、ようやくご褒美の大パノラマの稜線歩きが始まり、山頂を目指します。
『以東岳』山頂
山頂からの360℃の大展望は素晴らしいものがあります。
熊の毛皮の形に見える大きな大鳥池、また大朝日岳や朝日連峰縦走路、鳥海山や月山、磐梯山、飯豊連峰なども一望できます。
晴れていれば最高のパノラマを眺めながら、この上ない贅沢なランチを堪能することができ、登ったものしか経験できない最高の気分を味わえます。
ここから、他の大きな山々を眺めると、「次はあそこの山に行こう」と仲間たちと話が盛り上がります。それがまたランチの会話に花を咲かせてくれるんですよね。
日帰りでは見ることはできませんが、山頂直ぐ側の以東岳避難小屋に宿泊した際は、晴れていれば日の出、日の入りを拝むごとかでき、それがなんとも美しく、涙が出るほど感動的です。
私も実際に見た時、悩んでいたことが一気に吹き飛ぶほど心に響くものがありました。宿泊した際は、是非見てみて下さいね。
『以東岳』オツボ峰コース(下り)
山頂から下山する時は、オツボ峰方面に向かい下ります。
オツボ峰を目指しながら、いくつかのアップダウンを繰り返し、大鳥池やそれを囲む山々を眺めながら稜線歩きが続くので、おもいきり景色を満喫しながら下山して行きます。
下りのこの稜線歩きがとても気持ちが良いです。
オツボ峰コースでの魅力はなんといってもお花畑を楽しむことができることです。ハクサンイチゲやミヤマウスユキソウなど美しいお花が、疲れた心を癒してくれます。
下りは特に疲れているので、目で見て楽しめるこちらのコースが最適かと思います。
景色をしばらく楽しんだ後、ブナ林の中の急な下りが続き、一気に大鳥池まで下山します。
大鳥小屋に到着してからは登ってきた時のルートを戻り、泡滝ダム付近の登山口でゴールとなります。
『以東岳』日帰りおすすめの時期
以東岳の登山敵期は6月下旬から10月中旬ですが、以東岳は往復で20kmを超える距離があります。
日帰りで楽しむならやはり日照り時間の長い7月中旬から8月中旬がおすすめです。
歩行時間を休憩込みで12時間と考えても朝5時にスタートすれば、夕方17時には下山できます。
この時期は日照り時間が長いので、ヘッドランプの必要もないでしょう。
秋は日が短いので日帰り登山は厳しいですが、一泊でゆっくり登山を楽しむのであれば、色鮮やかな紅葉のじゅうたんが見られる10月がおすすめです。
以東岳の山全体で、美しいコントラストを堪能できます。
『以東岳』泡滝ダムまでのアクセス情報
●バスの場合
JR羽越本線鶴岡駅から庄内交通、あさひ交通で泡滝ダムバス停へ
バスは1日3便、泡滝ダムまで約2時間
登山口まで0km
庄内交通鶴岡営業所TEL:0235-22-2608
●車の場合
山形自動車道庄内あさひICー県道349号ー泡滝ダム
未舗装路あり。凹凸はあるが普通車でも支障なく走行可能。
【泡滝ダム駐車場】
駐車スペース:約20台
料金:無料
トイレ:有り
まとめ
以東岳、いかがだったでしょうか。日帰りで挑戦できそうな気持ちになりましたか?
歩行距離は長いですが、暑い時期に日帰りで行っても、以東岳の豊富な水場に助けられます。
また十分に体力をつければ、日帰りで行くのも全く苦ではありません。
体力があれば気持ちに余裕ができ、以東岳の景色や急な登り、大パノラマの稜線歩きも満喫することができます。
以東岳は本当に沢山の魅力が詰まった山です。
そして、日帰りに挑戦することで、自分の自信へと繋がりますので、是非以東岳に日帰りで行ってみて下さいね。
最後まで読んでいただきありがとうございます。感謝です。
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